物欲子(ぶつよくこ)のブログ

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『あいち朝日遺跡ミュージアム』【2020年オープン】【弥生時代を代表する巨大環濠集落】【旧貝殻山貝塚資料館】(愛知県清須市)

『あいち朝日遺跡ミュージアム』は、弥生時代の遺跡・遺物を展示する資料館です。最大の見どころは、出土品の状態の良さやその完成度の高さで、膨大な出土品のうち、2000点以上が重要文化財の指定を受けています。また開館したてで、展示棟や、整備された敷地内の復元住居・解説展示などが新しく、綺麗であることも見どころとなっています。

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「あいち朝日遺跡ミュージアム」とは(ジャンクションの下の弥生村)

 

朝日遺跡」は、愛知県清須市名古屋市西区に広がる、弥生時代から古墳時代前期までの長期間、居住が続けられた大集落遺跡です。環濠で防御された、南北2つの居住域、4つの墓域がある巨大なものですが、名古屋の人間ですら、「貝殻山(かいがらやま)っていう貝塚があるだけじゃないの?」という認識です。

これは、遺跡を覆って建つ「清洲きよすジャンクション」や、地表に出ていないせいで、おかげで、大集落があった、ということはあまり知られていません。

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清洲ジャンクション」は美しいけれど‥

Copyright © 国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省, Attribution, Link

上の写真のジャンクションの真ん中が、ちょうど大集落の真ん中にあたります(青丸は、「あいち朝日遺跡ミュージアム)。

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上の遺跡図では、⑧⑨あたりがジャンクションの真ん中という感じ

引用:『あいち朝日遺跡ミュージアム 常設展示案内』50p

朝日遺跡の規模は、東西1.4km、南北800m。北東から南西に谷があり(川の跡?)、また、南は干潟で、今とは違い、海のそばでした。最盛期には、1000人の居住があった、といいます。

 

【見所①】「弥生村」が楽しめる、きれいな公園

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奥の黒い建物が「朝日遺跡ミュージアム
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【左】貝塚の上から 【右】青いろが貝塚

メイン(?)の貝塚は、形も崩れているのか、土の盛り上がりくらいにしか思えません。

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復元竪穴住居(屋根の向きと入り口の向きが違うのが面白い)

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建物内部(穴が3つ。こうしたスタイルは、朝鮮半島経由なのだとか)
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【左】高床式倉庫 【右】復元した方形周溝墓ほうけいしゅうこうぼ
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【左】貝層断面表示 【右】環濠の様子(環濠に貝を捨ててたらしい
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弥生村の水田を復元

時おり、親子が遊びにくる位ののどかな場所で、明るくて綺麗、広さもある、復元施設もある、解説も充実していて、学ぶことができる、おすすめの公園となっています。

 

【見所②】「弥生村」の大パノラマ

 

本館の方に入ります。

本館の見どころの1つは、パノラマ展示です。

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展示室1

見ることのできない、大集落遺跡の全貌をせめてパノラマで‥ということでしょうか。

でも、分かりやすいです。ちょっと遠いかな?、と思っていたら、本来は望遠鏡の貸し出しがある、ということでした(新型コロナ対策で、貸出は中止中)。

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弥生時代の戦争がリアルでドキドキします

乱杭らんぐい、逆茂木さかもぎ、柵、環濠、土塁、柵と‥、何重にも防御しています。

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引用:「まなびいあいちno.72」表紙より

出土した逆茂木の本気度がすごい!しかし、こんなに防御しないといけないって、いったい‥?

 

【見所③】質・量ともに素晴らしい出土品

 

展示室2や企画展示室では、収蔵している出土品を見ることができます。

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展示室2

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土器の展示

左は「円窓付まるまどつき土器」、右は「パレススタイル(赤彩土器)」と呼ばれる尾張地方独特の土器です。なぜ穴が開いているのか気になりますが、はっきりとした使い方は分かっていないそうです(ロウソクとか灯火を入れてみたくなりますが)。

「パレススタイル」は華やかな赤色で、見ると明るい気持ちになるものです(材料はベンガラ)。

また、骨角器など、彫刻をされたものの出来が素晴らしいです。弥生時代の作とはとても思えず、最近作った、と言われても納得してしまいそうです。

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必見は、弥生時代の「ゆはず」(弓の両端の、絃をかける部分

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弥生時代の銛

状態が良くて感動してしまいます(本当に弥生時代なの?)。

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武器形木製品

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石製品のツルツルな仕上がりに感動する

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赤丸には細かい線描の、謎の絵が描かれていました(人面?)

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企画展示室

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味のある「沈線文形ちんせんもんけい土器」

沈線文の由来の、口縁部と本体に描かれた縄文土器ぽいデザインが面白いです(時代は弥生前期~中期)。

 

土人骨(史跡貝殻山貝塚交流館

 

居住域を囲む墓域群は、たいへん面白そうなのですが、見学することはできません(埋め戻されている)。

発掘された遺体の一部を、同じ敷地内にある「史跡貝殻山貝塚交流館*1 で見ることができます。

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方形周溝墓内で見つかった、骨太で立派な人骨(とてもいい状態)

写真の遺体ともう1体あるのですが、両遺体とも同じ方角、同じ向き(右側を下に)の屈葬で、埋葬の仕方にも意味合いがあったことがわかり、興味深いです。

 『あいち朝日遺跡ミュージアム

【入館時間 】9:30-17時  【定休日】月曜日・年末年始

【入館料】大人300円、高校・大学生200円、中学生以下無料 

【住所】愛知県清須市朝日貝塚

【サイト】「あいち朝日遺跡

おみやげ

 

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ミュージアムショップで

黒曜石製の「石鏃せきぞく」が気になりました。

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子供にもわかりやすい『常設展示案内』のパンフ(1000円)

 

さいごに

 

数千年を感じさせない出土品の素晴らしさは必見です。たくさんの人間と長期間の居住が生活用品の精度を上げているのだろうか、と感じました。

吉野ヶ里」のように、「弥生村」として整備して、「弥生村巡りツアー」「墓域群巡りツアー」などしたら、楽しそうなのに、現状はほど遠く残念です。

また、近くには、織田信長の城「清須城」があり、弥生から中世まで居住が連綿と続く土地柄ということも面白く感じます。興味のある方はぜひ、『あいち朝日遺跡ミュージアム』を訪れてみて下さい!

‥ということで、「弥生時代を代表する巨大環濠集落 あいち朝日遺跡ミュージアム」でした!以上です、ではまた!

*1:もともと、最初からあったのが「貝殻山貝塚資料館」で、現在は「貝殻山貝塚交流館」に名称変更。2020年に、「遺跡ミュージアム」の一部となった?