奇妙な鉱物「ペグマタイト」が見たい!花崗岩とはどう違うのだろうか?(中津川市鉱物博物館)
ペグマタイトという聞きなれない名前の野趣に富んだ鉱物があります。以前にも出会ったことのあるこの「ペグマタイト」について今回はとりあげたいと思います。
中津川なかつがわ市の苗木なえきという場所はこのペグマタイトの3大産地ということで、たくさんの実物がみれるに違いないと「中津川市鉱物博物館」に行ってきました。*1
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①そもそもペグマタイトってなんなんだろう?
ペグマタイトの説明を読んでると何やら難しくて頭が痛くなるのですが、読み取れる大きな特徴は、
◯組成は花崗岩と同じ粗粒な岩石
◯中に空洞(晶洞)ができやすい。晶洞の外側がペグマタイト。晶洞の中には水晶・トパーズ・蛍石などが成長したりする、というもの。
しかし、これだけではイメージできません!実際のものを見にいってみましょう!
②「中津川市鉱物博物館」蔵のペグマタイト
中津川駅の北約8kmにあるこの博物館は、長島さん親子が収集されたコレクションを中心に1998年に開館しています。みどころはここに産する苗木花崗岩からのペグマタイトやその他苗木産の鉱物です。*2
ということで、館内に入ってみるとさすがはペグマタイトの産地!完璧な標本がいくつもあり、人もいないしで、石と自分だけの空間を堪能することができます。


左なんか、いかにも岩肌が花崗岩ですが粒の粗い結晶があることに気づきます。また右の写真の1番右、黒い水晶は苗木に見られる「煙水晶(黒水晶)」と呼ばれるもので、こうした色は苗木の放射線の作用によるといいます。
上の石に出ているマキビシのようなのはいったい何が成長したものなのか?左端からは大きな水晶が突き出したりで、何だかカオスです。


ペグマタイトは晶洞を持ち、中に鉱物が成長するという通り、晶洞の中に規則性を持ちつつ、結晶化した石が突き出す様は本当に不思議。
しかし、花崗岩と同じ素材のはずがなぜこんな姿に?という疑問がわいてきます。これについては展示の説明をそのまま引用して、
「ペグマタイトは、まわりの岩石と比べてひとつひとつの鉱物の粒が、とてもあらくなっているものをいいます。ふつうは塊や脈のようになっています。これは、マグマが地下深くで固まり、岩石(ここでは花崗岩)になる最後に、マグマの残液に水蒸気やフッ素、塩素などの気体が集まり、これらに富んだ残液がゆっくり固まるとあらい粒の結晶になるのです。空洞ができると、結晶も大きくなります。これを晶洞(ガマ)といいます。」引用:中津川市鉱物博物館の展示より
ということで、マグマが冷える時の状況による違いということになります。
③「ストーンハンティング」(水晶探し)
さて、素晴らしい標本を堪能したところで博物館前に出てみると「すいしょうひろば」という砂場があり、なんと!入館者は無料で水晶探しの体験をさせてもらうことができます。
砂場の砂利は、博物館裏山の水晶が出る場所のものということで、たしかに日があたるとキラキラと輝き、ヤル気を誘います。


水晶探しをしたいと館に申し出るとお皿と竹ベラを貸してもらえ、制限時間は30分。みつけた水晶を1個だけ持ち帰ることができます。
ということで私も水晶を探しますが、(本当に欲しいのは苗木の花崗岩!)
ちなみに小さな小さな水晶をいくつかみつけることができました(六角柱のタイプなど)。
写真では分りづらいのですが、キラキラとした表面の内側に空洞があり、結晶化した小さな水晶が顔を出しています。
これルーペで観察するとすごい面白いです。今まで晶洞の石なんか(アメジストとかの開運系の)悪趣味に思えていたのですが、どうやって鉱物が成長したのかが分かるのが面白いんだ!ということに今回やっと気がつきました。
最後に
さて、持ち帰ったこのペグマタイト(と思しき石)、水で洗い、ビニール袋にいれていたら、藻みたいなのが生えてしまいました!この花崗岩、中が空洞で水分を含みやすくしっとりとしているのでもっと入念に乾かすべきでした!
そして思ったのは、これが露天で水がしみこみつづけば内部からもろく、建材には危険な石なわけですが、
博物館のそばの苗木城にあった巨岩の石垣。あれはどうなんだろうなと。石垣には「危険」と注意喚起してあったけれど、確かにいつかは崩れそうな風情をしていました。
そうした疑問も含めこれからまた調べてみたいなぁと思いながら、以上、『奇妙な鉱物ペグマタイトが見たい!』でした!ではまた!
中津川市鉱物博物館
【開館時間】9:30-17時 【休館日】毎週月曜日
【入館料】330円(小・中無料)
【ウェブサイト】中津川市鉱物博物館/中津川市