物欲子(ぶつよくこ)のブログ

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『アルクティカ級原子力砕氷船』(ロシア)がかっこよすぎて驚いた

先日、名古屋港で南極観測船ふじ*1を見学しました。その際、あまり展示を見れなかったので、後日、砕氷船について調べていました。すると、目にとまったのがこの写真。

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            パブリック・ドメイン, Link

ロシアの原子力砕氷船アルクティカ級ヤマール(⑤番艦)の写真。

(舷側に「ЯMAЛ」の文字がみえます。*2

船首に描かれた「シャーク・ティー」がキュートですが、これは姉妹艦と識別する目印にもなっているのだそう。

また、写真の船首の下から、氷に大きな亀裂が入ってますが砕氷作業中の様子です(割る時はけっこううるさいらしい)。

このように、氷を割りながら進む能力をもった船が「砕氷船」で、ロシアが圧倒的に所有しているということでした。

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①番艦「アルクティカ」 RIA Novosti archive, image #186141 / Nikolai Zaytsev / CC-BY-SA 3.0, CC 表示-継承 3.0, Link

アルクティカ級の①番艦「アルクティカ」です。

舷側に「アルクティカ(APKTИKA)」の文字(きれいな名前!「北極」の意味だそうです)。

なんというきれいな船!」

 見ための美しさが気に入って、ロシアの「砕氷船」について調べてみることにしました。

「写真集」でもないかな?と探したのですが、みつからず、『世界の砕氷船という本をみつけたので、早速この本をよんでみました。

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赤津謙一『世界の砕氷船』(H22)成山堂書店

この本、専門家の方が書かれているので、かなり難しかったです。

用語がまず分からず、四苦八苦。読むのには、(船舶)工学の素養が必要だなぁと感じました(期待した「カラー写真」は少なめ)。

南極観測船ふじ」からすると、「ヤマール」や「アルクティカ」はまるでビルを船に積んでいるように見え、まずそこから不思議だったのです。

 

アルクティカ」級とは

 

同型艦】6隻

【就役】1974~現在

【大きさ】満載排水量  約 23000-26000トン(砕氷船の中では最大級)

【全長】約150m~160m

【最大幅】30m

【速力】約20ノット

【乗員】乗組員140人、乗客100人(⑤⑥番艦)

 

そして原子炉を2基積んでいるため、無補給で長期間の航海が可能です。

(原子炉用「冷却水」は周囲が冷たい海水だから、好都合というわけです。)

高出力で氷を割りながら(氷を割るにはものすごいパワーが必要なのだとか。)、100人の乗客を乗せつつ、「北極クルーズ」を行うという。

すごい猛烈というか、パワーの塊り

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      ドックに入ったアルクティカ級  Insider / Link

ビルみたいなかたちは?

 

北極海クルーズ」を行う⑤番艦「ヤマール」には、客室が50室(1室2名)作られています。

客室の他には、ホール・温水プールジムなどの施設を備えており、あのビルのような船体の中は客室・施設となっているわけです。

また北極海を航海し、極夜(白夜の反対)を行くため、見晴らしのきく高さは是非確保したいところでしょう。

(しかし、原子炉を積んで、前方に5階建て位の「ビル」も積んで、船のバランスはいったいどういうことに?ですが。)

 

砕氷のしくみ

 

基本、推進力で割るのですが、推進力で割れない場合は一度後退し、全速力で割る「ラミング(チャージング)という方法をとることも。

氷に乗り上げて船の重みで割るよう設計されているので、船首と船底の形に特徴があります。また普通の船より、幅広で、そのほか船首部分の材質を特殊にしたり、ぶ厚くしています。

実際、どれくらい氷を割れるかというと、アルクティカ級では連続砕氷:2.3m/3ノット。*3ラミングした時は、厚さ5mの氷も割るということで驚きです。

 

日本の「砕氷船

 

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       「しらせ」②代目  統合幕僚監部/ Link 

写真は、ハル・ウォッシュ・システムで海水散水中の「しらせ」。雪を溶かし、雪との摩擦を減らすのだそうです。

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         「しらせ(初代)」 ootahara/ Link

船首部分が特徴的です。

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    網走流氷観光の砕氷船「おーろら」 221.20 (talk) / Link

係留されている以外で、日本で見られる代表的な砕氷船に、網走流氷観光の砕氷船おーろら」があります。

昨夏、網走港で停泊中ではないか?とこの「おーろら」を探したのですが、見つけられませんでした。*4

夏の間の「おーろら」は、知床で「知床クルーズ」に稼働中で、(冬も夏も働いていたのか、働き者の船だなぁ)と妙に感心しました。

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            「ガリンコ」 GFDL, Link

こちらは、紋別の流氷観光の砕氷船ガリンコ(初代)。おもしろい船です。

ドリルを回転させ、氷の上に乗り上げ、船の重みで氷を割るしくみなのだとか。

(現在は「ガリンコ」②と、来年就航予定の「ガリンコ」③がいる。)

 

最後に

 

砕氷船」、個性があって特殊で、個人的にすごくおもしろかったです。

アルクティカ級」(⑥番艦以外)は、2019年までに退役予定で、現在は「2代目アルクティカ級を建造中とのこと。

2019年から順次3隻が就役予定で、「初代」を上回るサイズ、性能になるとの話です。

今、ちょうど世代交代の時期なのですね。いやぁ、また楽しみです。

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    でもやはり「ヤマール」がいい Pink floyd88 a / Link

‥ということで、『アルクティカ級原子力砕氷船【ロシア】がかっこよすぎて驚いた』でした!以上です、ではまた!

 

【参考】

世界の砕氷艦船 写真特集で、各国の「砕氷船」の写真・解説をみることができます。

*1:海自の「砕氷船」。退役後、名古屋港で博物館として一般公開中。

*2:ヤマール、半島の名前。

*3:速度3ノットで、厚さ2.3mの氷を連続して割りながら航行する能力がある、の意。

*4:流氷観光は、網走港から出るため、そう思いこんでいた。