昔の兵士(奈良時代から戦国時代まで幅広く)は、戦闘中、野宿をすることも多かったでしょう。いったいどうやって寝ていたのでしょうか?
現代の私たちからすると、装備が無ければ寒くてたまったものではありませんが、昔は装備も貧弱そう。昔の露営(キャンプ)について、何か情報がないか探しました。
鎌倉時代に描かれた『平治物語絵詞へいじものがたりえことば』の1シーンです。これは、警備兵がうたた寝をしている姿で、何か1枚下に敷いて、兜を枕にスヤスヤ寝込んでいるようす。
戦闘中・警戒中でも状況が許せば、とりあえずそのままの恰好でそこで仮眠、ということもあったでしょう。夜の寝不足分を補うことにもなったはずです。
今でも、前線では「座り寝」をしたりするようです。後方に下がったら、やっと横になって寝れたり。
また、ウィキの「キャンプ」の項を読むと、
ローマ帝国軍の軍人・兵士たちは遠方の戦地に向かい、数か月から数年の間、そこで滞在しつつ様々な軍事行動を行った。彼らは木の棒を立て、そこに布(や皮)を張るテントを使用していたらしいことが遺物などによって判っている。 引用:『キャンプ』wikipedia
とあり、テントがあるのはかなり上等な感じです。露営もだいぶ楽になったことでしょう。設営部隊もつれていたのでしょうか?
こうした簡易なものであったのか?と想像するのですが、ローマ帝国軍が使った「テント」まで調べてないので申し訳ない。
さて、日本はというと。
この右側の足軽の寝床の衝撃!そのまま寝?
むしろを敷いて、蓑みのや上着をひっかぶり寝るというのは、寝れますかぁ?
寒くて寒くて寝れないのでは?昔の人は偉かったというか、もう本当にすごい!
1日ならまだしも、しばらく続く長陣では体が弱りそう。火を起せればいいけど、起せないことだってあるでしょう。
上の『戦国の作法』によれば、武将クラスは野戦築城用の「建材」を運んで行軍するので、簡単な「建屋」を建てたり、足軽クラスとは雲泥の差があったようです。
また、近くに人家があればそれを徴発することもあったでしょう。雑兵たちも廃屋、敵の人家、神社仏閣、木の下、雨風をしのぎやすいところをみつけて、きっと利用したことでしょう。
最後に
戦争の内容・勝敗、武具装備、戦い方などはふつうに見つかるのですが、近代以前、「戦闘中はどうやって寝ていたのか?」は少し調べたくらいではなかなかみつからない難問です。
これは推測ですが、日本の中世・近世では戦闘行動中、「何かをひっかぶってそのまま寝る」はわりと普通のことだったのかもしれません。*1
結局のところ、①人家などを徴発する ②簡易の建物や陣幕を張る ③具合のよさそうなところでそのまま寝、の3つの選択肢になってくるのかもしれません。
「そのまま寝」でも、現代のように寝袋や暖かい毛布・フリースでもあればいいですが。無いので、当時のまだ持ち運びやすい、いくらか保温効果のある「蓑」(カヤ・スゲ素材)や衣服をひっかぶるしかなかった、というのが実情だったのでしょうか。
はっきりとしたことは不明の為、これからも探っていきたいと思います。
ということで、『昔の戦争中の野営では、いったいどうやって寝ていたのだろうか?』でした!以上です、ではまた!
今回参考にさせて頂いた『中世絵巻 寝姿ものがたり』。絵巻の中に見る「寝姿」に着目した1冊。着眼点の面白い、中世が身近に感じられる良書。