高座山の磐座と「水晶の崖」(愛知県春日井市高蔵寺)
先日、高座山たかくらやまという山に登ってきました。自衛隊の駐屯地として知られる山ですが、いくつか面白いポイントがあります。
1つは山頂に磐座いわくらがあること。*1 山麓に、地名の由来にもなった高蔵寺という古刹があること。
2つ目は別名・水晶山。水晶がとれる山として古来有名で、今でもラメのような細かい水晶が地面にキラキラとする珍しい光景が広がっています。
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①高座山(愛知県春日井市)
高座山への登山自体は容易ですが(標高は194m)、山の東側には空自の分屯基地があり、最高峰は基地内にあります。*2
また、高座山は、そのすぐ南にある東谷山(とうごくさん。198m・名古屋市最高峰)とそっくりな山で、植生も雰囲気も似通っています。
名古屋市民には、この東谷山の方がフルーツパークなどの施設があることもあり、お馴染みです。
②山頂の磐座


さて、この岩クラに降りたった神様は誰だったのかというと、天香語山命あめのかごやま(かぐやま)のみことといわれています。*3
天香語山命は古代豪族・尾張氏の祖先神で、向かいの山・東谷山の尾張部おわりべ神社にも祀られていますが、最初この場所に降り、川を渡って東谷山に移ったといわれています。
その東谷山の山頂には尾張氏の墓とされる2つの前方後円墳や山麓にたくさんの古墳があるのですが、その反対側の高座山には古墳はなく、伝説と磐座のみなのは何だか不思議で面白いです。(その住み分けには意味がある?)
③水晶崖と水晶
ということで、参道を下り、途中の案内板まで戻ります。
分岐点から、五社大明神社の方へ少し下ると水晶崖と呼ばれる場所に出ます。
調べてみると、水晶の産地としてこの春日井市かすがいし・中津川市なかつがわしがあげられていて、意外と自分の住む場所の近くが産地であるということが分かりました。
また、取りつくされていて小さなカケラのような水晶しかないという話だったのですが、光を浴びた地面がラメのようにキラキラ光っています。
スゴイ!小さな小さな水晶が光って、キラキラしたじゅうたんみたいになっています!


最初は、小さな水晶をがんばって探す気は無かったのですが、キラキラに興奮して、結局、真剣に探していました。


ライトを持ってきて光をあてながら探せばよかったかな?と思ったのですが、探すのには結局、太陽光が一番のよう(よく晴れた日中に探すのがいい)。
また雨の日の翌日がいいというので前日降った後にちょうどきたのですが、泥・砂が洗い流されて、小さな水晶が浮かぶようでした。
大きな水晶は浮かばないから、軽く掘るものなのか?
その他、泥ごと持って帰って洗いだすという方法もあるそうで、そうするとタッパーやビニール袋が必要で、本気で採集するなら、いくらか準備も必要なんだなということも分かりました。
赤色は鉄なんでしょうね、やっぱり。少し色のついた(ピンク水晶や黄水晶みたいな)ものがとれました。
自分で採ったものがこんなに嬉しくて、こんなに思い入れを感じるとは思いもよりませんでした!(小さな水晶なんかと思っていたけれど)
④水晶崖での注意
以下の文章は事後、分かったことで、水晶崖はいったいどういう場所であるのか、関係の方にお話を聞いたりして少し調べました。
◯所有権については高蔵寺ではないということ(所有権がどこか調べきれず)。
◯水晶崖には銅の採掘権が設定されていること(掘ったりとったりは採掘権の侵害に)。
◯崖を削る人がおり、ここ20年で崖は1/3のサイズに。土砂が崩れて危険なため、土留めをしていること。
◯採れたのは大昔の話で乱獲され尽くしていること。
というお話で、山下にも迷惑がかかることなので、これ以降、水晶採りはやめようと思っています。
私は土留めの手前で拾っていたのですが、土留めの向こうに行く人がおり、崖を削ったためあんな変な形になっているということにも気づいてませんでした。
そのほか(堰堤、高蔵寺、五社大明神社)
現在の高蔵寺という地名の由来になっているお寺で、平安時代に開かれ、斯波武衛しばぶえい家の祈願所でもあったとか。


最後に
愛知の人間でも高蔵寺といえば、高蔵寺ニュータウンや通勤電車の高蔵寺行きくらいの、地味なイメージを持たれる方も多いと思います(私も長い間そうでした)。
でも、実は太古から人が住んで、古代氏族・尾張氏の古墳や神社があり、最近ではそれらは「志段味しだみ古墳群」として整備が進んでいます。
また高座山では水晶が採れたり、前を流れる庄内川(しょうないがわ。昔は玉野川と呼ばれた)ではめのうや珪化木が取れたりと地質的にも面白い場所だなと思っています。
落ちてる水晶を拾える場所ってなかなか無いと思うので、今回貴重な体験をさせてもらったことに心から感謝しつつ、以上、『高座山の磐座と水晶の崖』でした!ではまた!