物欲子(ぶつよくこ)のブログ

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(おもに)物欲ぶつよくの記

あの『海上の森』は今?(人気ハイキングコースになっていた!)【モリゾーとキッコロの棲む森】【2005年「愛・地球博」の瀬戸会場】【愛知県瀬戸市】

海上かいしょの森」という名の森が、名古屋市の近く瀬戸市にあります。2005年の万博「愛・地球博」では、会場として一気に有名になり、あれから16年がたちました。

現在は、いったいどうなっているのか?その「海上の森」を訪ねました。

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海上の森」とは

 

海上の森」は、瀬戸市の南端にある広大な森・里山(約600ha)です。

2005年「愛・地球博」のメイン会場の候補地でしたが、オオタカの営巣が確認されたことなど、自然保護からの反対運動が起こり、主会場を長久手市に移したという経緯がある。*1

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オオタカ Norbert Kenntner, Berlin , CC 表示-継承 3.0,Link

こうして、メイン会場から外された「海上の森」ですが、万博時には、瀬戸会場としていくつかの施設が建てられ、散策できるように整備がされ、今に到っています。

海上の森の名の由来

海上かいしょの森」という美しい地名が印象的なのですが、どういう由来なのかを調べました。

遡ると、江戸時代には「かいしよう」という地名がみられ、海上会所開所の当て字であったかも、という説明がありました。

音の響きからも納得の説ですが、はっきりした由来は分からないようです。*2

 

①「海上の森」の現在

 

結論からいうと、人気のハイキングコースとなっていました。

駐車場が2ケ所ありますが、土日はすぐに満車。*3 

空きをじっと待つ車を見て、その人気ぶりにびっくり。

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満車の「海上の森センター」駐車場

私は、早朝6時に行ったのですが、さすがにこの時間に森に入る人はごく少数で、数人にしか会いませんでした(だいたいカメラマン)

イカーは朝9時位から来るため、入れ替わりに帰るかたちとなり、おすすめ。

また「海上の森」は、バードウォッチャー(大きなカメラを持参)にたいへん人気な場所なのですが、鳥・動物>人間というのがあからさまで、あいさつしても「むすっ」という感じ。

来て欲しくないのは分かるのですが、「なんだかなー」という感じでした。

 

②【ルート】

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/296357_1099474_misc.jpg

 海上の森案内図」 引用:「海上の森の紹介」愛知県より

モデルコースは1つだけというわけではなく、森の中をぐるぐるできます(色々見れば3時間くらいはふつうにかかる)

それぞれの地点には番号(①、②、③‥)がふられ、案内板もしっかり設置されているので、迷うことはありません。

真ん中には、「里山サテライト」という移築した農家があり、ゆっくりと休憩できる場所になっている。

また、トイレはこの里山サテライト・「海上の森センター」・駐車場くらいで、腰をかけて休憩できる場所というのも限られる。

 

③みどころ

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海上の森センター」への入り口

砂防の堰堤

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砂防の堰堤

森の中には、砂防の堰堤えんていがたくさんあり、堰堤好きな人にはオススメ。

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地質の説明板

地質の説明板を読むと、北西側は砂れき層で砂が多いとあります。また、今は立派な森ですが、明治期にはハゲ山だったとか。

瀬戸名物でもあった「ハゲ山」ですが、昔は、瀬戸ものなどの陶器を作る際、山から薪用に木を大量に採っていたので、「海上の森」も同様だったことが分かります。

植林をして、森林を回復したのは戦後という話で、意外と新しい森のようです。

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いかにも植林ぽい場所もある(スギ・ヒノキ?)

【水源地】

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きれいな水が流れる

森の南東・物見山(ものみやま・327m)は、海上川の源頭になりますが、水を集めて森がろ過する様子がよくわかるのが海上の森の魅力だと思います。

そして、その豊かな水は遊歩道にまでビシャビシャと流れこみ、かなり泥ハネします。

トレッキングシューズは絶対。長靴を履いている人も。)


柔らかな森

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広葉樹の森(右は猿投山方面)

ナラ・マキの広葉樹林や、尾根伝いの道は明るく、歩いていると気持ちも明るくなる道でした。

また、物見山からは、豊田市方面・猿投山さなげやま・629m)への登山道がつながっています。

森の中ではシダが繁茂し、足元の歩道をおおう場所も(「マムシ注意」の看板にひやひや)

その他、「ハチ注意」「イノシシ注意」などの注意書きが丁寧で、管理された森を安心して散策することができます。*4

砂防池

海上砂防池」「篠田砂防池」は、砂防えん堤で水をせき止めてできた池で、池を眺めながら、ベンチで休憩ができる。

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立ち枯れの木が印象的な「海上砂防池」

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篠田砂防池(奥にえん堤がみえる)

里山サテライト

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里山サテライト(移築された古民家。ここでも小休憩ができる)


三角点(166m)からの見晴らし

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名古屋方面の眺望(白い塔は瀬戸タワー)

 【海上の森センター

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海上の森センター」(開館時間:9-17時。休館は月曜など)

万博時の「瀬戸愛知県館」で、現在は展示室や図書館などが利用できる。 

遊歩施設内の建物

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海上の森センター」(開館時間:9-17時。休館は月曜など)
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素敵な雰囲気の建物内部(木・竹・漆喰で建造)

面白いかたちの「繭」の家は、持ち込みの飲食可。

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「窯の歴史館」

窯の歴史館は、平安時代中期の古窯を保存・展示した施設で、かけ造りの建物登り窯が見所となっています。

物見の丘

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「物見の丘」に建つ、高さ13.6mの展望台

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下から見上げると、都心のオフィスビルみたいにもみえる
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下が見えないようにしてあるため、恐怖感は薄め
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最上階

展望台は1度に12人以上は登らないで下さい」とあったので、少しドキドキしながら登ったのですが、ギシギシいうこともなく、安心して登れました(匠の技!)

遊歩施設の開館時間は、9:30-16:30で、センターの休館日には閉門。

 

 最後に

 

16年前、人込みが嫌で行かなかった『愛・地球博』ですが、その森が現在どうなっているのか?何も知らずに出かけましたが、結果は、人気のお手軽ハイキングコースになっていることが分かりました。

森といっても、最寄りの山口駅八草駅愛知環状鉄道リニモから歩いていける距離で、本格的森林を楽しめつつ、管理されていて歩きやすい、ことなどが人気の理由かなと感じました。

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モリゾーとキッコロ」 キャラクター制作 アランジ アロンゾ、撮影 Gnsin , CC 表示-Link

上の写真は「愛・地球博」の公式キャラだった森の精のモリゾーとキッコロ」で、ゆるい感じで大人気でした。

このモリゾーとキッコロの棲む森がどこか?という設定は無いのですが、この「海上の森」の奥深くにきっと棲んでるなと思った今回でした。*5

ということで、以上、『海上の森は今(人気ハイキングコースになっていた!)』でした!ではまた!

*1:当時の「愛知青少年公園」。現在の「愛・地球博記念公園」。

*2:『瀬戸の町名由来』S62より。また、web上の『地名から読み解く地域の歴史や人々の営み』で抜粋を読むことができる。

*3:南の「海上の森センター」の駐車場(27台)。北の駐車場(50台位?)。

*4:海上の森で見られる生き物は、リス・ムササビ・ノウサギ・キツネ・タヌキ・イノシシ・テンの他、オオタカサンコウチョウオオルリルリビタキなどの鳥たち。

*5:公式キャラクターの紹介」『愛・地球博