物欲子(ぶつよくこ)のブログ

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(おもに)物欲ぶつよくの記

(個人的に)面白い呪文・呪いの言葉、呪いについて考える

有名な呪文、「アブラカタブラ」「ちちんぷいぷい」「エコエコアザラク」。

こうしたおなじみの呪文以外に、なにか興味深い「呪文」や「呪いのことば」はないだろうか?と探しています。

今回は、まだ収集の途上ですが、興味深く感じる「呪文」「呪いの言葉」、呪いについてを載せました。

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sobimaによるPixabayからの画像

①「ビビディ・バビディ・ブー」(シンデレラ)

 

ディズニー映画「シンデレラ」に使用され、誰でも1度は聞いたことのあるあの曲。あれが、魔法の言葉をイメージして作られた楽曲だとは知らない人もいるだろう。

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RKO Pictures - Modern Screen, March 1950, パブリック・ドメイン, Link

作中で歌われる「ビビディ・バビディ・ブー」。

耳に残るこのフレーズ、たしかに呪文ぽい。

(しかし、この言葉には特に意味はないのだとか。)

Salagadoola mechicha boola bibbidi-bobbidi-boo

It"ll do magic believe it or not

Bipptyーboppity-boo *1

引用:「ビビディ・バビディ・ブー」1952(ディズニー映画「シンデレラ」より)

魔法使いが、「サラガドゥーラ・メチカブーラ・ビビディバビディブー 信じても信じなくても魔法の言葉なのよ」と歌いつつ、

シンデレラにドレスやガラスの靴、かぼちゃの馬車を出してくれる魔法のシーンは、劇中の最も重要なシーンだ。

youtu.be

呪文というと暗いイメージを想像しがちだが、「シンデレラ」の明るく輝くような呪文は、魔法の使い手が良い魔法使いで、白魔術の呪文であるからなのかもしれない。

 

②「ウラウラベッカンコー!」

 

昔、「ジャングル黒べえ藤子・F・不二雄というアニメがあった。

主人公の男の子・黒べえは、ピリミー族の王子で、ふとしたことから、日本人の少年の家に同居することとなり、珍騒動を巻き起こすという内容だ。

子供のころの記憶で内容はウロ覚えなのだが、魔法の呪文「ウラウラベッカンコー!」はインパクトがあり、何十年たった今でも覚えているくらいだ。*2

当時は呪文の意味など考えたこともなかったが、「ウラウラ(占占)、ベッカンコー(あっかんべー)」の意味であったのか?とか、今は原作者の意図をしりたいと切に思っている。

 

③蛇皮の呪い

 

呪術の本の記述から。

もし汝、憎き相手をじわじわと苦しめたいと望むなら、次の呪文を唱えよ。
手を縛る歯を縛る骨を縛る舌を縛る口を縛るへびの皮で縛るいつも不幸があるように
引用:『西洋呪い術秘伝』(ビーバン・クリスチーナ)(二見書房)1974

色々縛ったあげく、だめ押しに「いつも不幸があるように」が効く感じ。

ただ「死ね」ではなく、「歯を縛る」など具体的なところが印象的で、妙に感心する。

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蛇の皮には何か意味はあるのだろうか?
アルブレヒト・デューラー , Link

 

④金神七殺

 

有名な金神こんじんさまの祟りの話(神様だと呪いでなく、祟りである)

金神さまは方位の神様で、その金神様がいる方角で何かをすると、祟られるという信仰があった。*3

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金神さま
柄沢照覚(柄澤照覺) - 安部晴明簠簋内傳圖解(あべのせいめい ほきないでんずかい) 東京神誠館 1912年 , Link

これは「金神七殺ななさつ」と呼ばれ、家族7人を皆殺しにするという無茶苦茶なものである。

家族が7人いなければ、足りない分は隣の家の人間を殺すという非道ぶりも凄い。

あまりの無茶ぶりに、隣の人は関係ないからやめたげてー、とつっこみたくなる。

これに似たのに「7代祟ってやる~」というのがあるが、7代前・後の先祖や子孫の話なんかこっちだって誰だか分かんないよ!と思ったり。

 

⑤我を頼めて来ぬ男『梁塵秘抄

 

梁塵秘抄』の有名な歌より。

我をたのめて来ぬ男
角三(つのみ)つ生ひたる鬼になれ さて人に疎まれよ
霜雪霰降る水田みづだの鳥となれ さて足冷かれ 
池の浮草となりねかし と揺りかう揺り揺られ歩け

出典:『梁塵秘抄』(巻第二・四句神歌・雑)

本気か戯ざれ歌か、判別はつかないが、これも立派な呪いの言葉と思える。

相手の悲惨な末路のイメージが具体的であるところが素晴らしく、情景が詩的でセンスがある。*4

 

磯部浅一『獄中手記』

 

磯部浅一(あさいち・1905-1937)は、226事件昭和11年の際、決起した皇道派将校と行動をともにし、後に死刑になった元陸軍将校である。

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磯部浅一 Link

彼は獄中で手記を残しているが、その内容を読んで正直たいへん驚いた記憶がある。

そのあからさまな生の呪いの言葉には、磯部浅一という人間がすぐそばに感じられ、親しみを持つくらいだ。

以下、少し長いが、『獄中手記』から引用。

「何にヲッ!殺されてたまるか死ぬものか千万発射つとも死せじ断じて死せじ

死ぬることは負ける事だ、成仏することは譲歩する事だ、

死ぬものか成仏するものか 悪鬼となって所信を貫徹するのだ

ラセツ(羅刹)となって敵類賊カイ(魁)を滅尽するのだ、余は祈りが日々に激しくなりつつある、

余の祈りは成仏しない祈りだ、悪鬼になれる様に祈っているのだ、

優秀無敵なる悪鬼になる可く祈っているのだ、必ず志をつらぬいて見せる、

余の所信は一分も一厘もまげないぞ、完全に無敵に貫徹するのだ、妥協も譲歩もしないぞ」

「西寺、寺内、南、鈴貫、石本等々、後から来る悪人ばらを地ゴクでヤッツケるのだ、

ユカイ、ユカイ、余はたしかに鬼にはなれる自信がある、地ゴクの鬼にはなれる、

今のうちにしっかりとした性根をつくってザン忍猛烈な鬼になるのだ涙も血も一滴ない悪鬼になるぞ

引用:磯部浅一『獄中手記』

この磯部浅一の手記ほど、生の呪いの声を聞かせてくれたものを今のところ読んだことはない。

 

最後に

 

ということで、呪文、呪い、呪いの言葉について、興味あるものを取り上げました。

呪いの言葉も「死ね」をたくさん連ねただけの、そんなありきたりではつまらない。

人間らしく奇妙で複雑、浅くて深いものが見てみたい、と思うのです。

そうしたものに今後出会えることに期待しつつ、以上、『面白い呪文・呪いの言葉、呪いについて考える』でした!ではまた!

*1:「boo!」には、「ばぁっ!」とか「わっ!」とか子供を驚かすニュアンスもある。

*2:しかも、同居少年の庭に大きな「べっかんこの神」(あっかんべーをしている)を祀っているのもなんかシュールだった。

*3:特に、土を動かしたり造作・修理・移転・旅行などが忌まれたというwikipedia) また、凶神・金神の直接の起源は院政期にまで遡るという。

*4:頼みに思わせて来ないあの男 角が3つも生えた鬼となれ そして人に疎まれろ 霜雪霰が降る水田の鳥となれ そして足は冷たくなれ 池の浮草となって ゆらゆらと揺れながら歩いたらいい