前回の「闘鶏まんじゅう」と一緒に取り寄せた『南方熊楠みなかたくまぐすっまんじゅう』。南方熊楠(1867-1941。博物学者、民俗学者)の好物のあんぱんをイメージしていたり、饅頭の入ったお菓子箱にもエピソードがあったり。そして、熊楠が発見した『粘菌』の刻印入りまんじゅう探しを愉しめるという、遊び心のあるお菓子でした。
①「マッチ箱」風は、粘菌の「標本箱」をイメージ
熊は「熊野」だし、熊楠の名前にも「熊」が入っていますもんね。
これらの絵は、熊楠さんが書いたスケッチを元にしたものも多いのかな?特に猫の絵などはそれと分ります(猫好きで、飼い猫にチョボ六と名前をつけていました)。
側面に見える楠爺くすのきじいは、熊楠がその名をもらった藤白神社(和歌山県海南市)のクスノキの巨木のようです。
この藤白神社で名前をいただくと*1、子供が健康で長生きをする、と信仰されたのだそうです。
さて、この箱の形。これは熊楠が標本箱に使ったマッチ箱をイメージしているのだそうです。
紙の箱といえば、昭和4年、生物学・博物学に興味のあった昭和天皇は、田辺市の神島かしまを訪れます。
戦艦長門の中で30分ほど、熊楠から生物学の話を聞き、粘菌の標本など100点以上を贈られています。この時、標本箱にお菓子の箱(キャラメル箱など。マッチの箱もあったのかな?)を使ったというのがエピソードとして有名です。
軽いしピッタリな気がしますが、不敬だと怒られなかったかな?(当時は、桐箱に入れて献上するのがふつうだったようです)
この箱の中にあんぱん饅頭が入っていて、どれか1つが当り(?)の粘菌柄ということで、1個づつセッセッとあけますがなかなか出てきません。1/8ですもんね‥。
②あんぱん大好き熊楠さん
やっと出ました、ミナカテルラ・ロンギフィラとやら!*2
一見クローバーのようですが、長い糸状の粘菌で、這いずる時はこういう形みたいです。和名は「ミナカタホコリ」だそうで、ホコリっぽいの?
さて、お味はというと‥。「ウマー!、何じゃこりゃ?」とビックリするくらいの激うま饅頭でした。前回、紹介した「闘鶏まんじゅう」ももちろん美味しかったのですが、多分、こっちの方が人気かも‥。
黒色あんこがそこまでな私ですら感心するほどのあんこの美味しさ。甘さ控えめでバランス絶妙。何個もいける。皮もしっとりとして確かにあんぱん感がある。これは美味しい‥、感心しました!
‥さて、熊楠さんはアンパンが好物で、徹夜の時はアンパン6つと決まっていたそうです。睡眠時間も少なめだったようで、好きなアンパンを食べながら、研究生活に励んでいたようです。
③「粘菌=変形菌」がどこかでブームらしい?
知りませんでした!そうなの?
そもそも「粘菌っていったい?」ですが、今は変形菌と呼ばれることも多いようです。菌とついてるので紛らわしいのですが、菌ではない。
アメーバのような単細胞生物で、ふだんは這いずったりしていて、飢餓状態に陥った時などに集合し胞子を飛ばすという植物的要素を持った生物ということです。
見た目に変化があり、よく見ると美しいものもあることから、近年人気のようです。
こんな綺麗な本も出ているのか‥、図書館で探してみようかな。
最後に
『南方熊楠っまんじゅう』がびっくりするくらい美味しいあんぱん饅頭であったこと。また「粘菌」がどこかでブームになっていること。発見でした。
今から100年以上も前に世人が気づかない「粘菌」の不思議さ、美しさに気づけたこと。一生涯、自分の興味のあるものを追求し続けたこと。
こんな幸せな人生を送った人はそうそういない‥。自分もそうなりたい‥と思った「熊楠っまんじゅう」でした。
‥ということで、以上、『粘菌探しが楽しめる美味しい餡パン饅頭』でした!ではまた。