「名古屋のマイナースポット 塩付街道を歩く」お馬さんが海岸から塩を運ぶ道・中馬ちゅうま(冨部神社・笠寺観音)
先日、名古屋市を南北に通る「塩付しおつけ街道」という旧道を歩きました。
塩付街道の魅力と道中立ち寄った「笠寺かさでら観音」「富部とべ神社」なども合わせて載せています。
- 「塩付街道」のルート
- 「塩付街道」とは?
- 【魅力 ①】「高低差」
- 【魅力 ②】「お馬さんの行く道」
- (道中寄り道①)「あゆち水」
- 【道中寄り道②】「冨部神社」と蛙(南区呼続)
- 【道中寄り道③】「笠寺観音(笠覆寺)」(南区)
- 最後に
「塩付街道」のルート
塩付街道は、名古屋を南北に縦断する街道で、その区間は古出来町こできまち(名古屋市東区)から星崎ほしざき(南区)です。
また、実際に「塩付街道」を歩きたい方には、Yamarecoの「塩付街道を歩く」がおすすめで、ルートも詳細、1つ1つの記録が丹念でとても参考になります。
「塩付街道」とは?
お馬さんが塩を乗っけて運んだ道でした。
星崎の浜で製塩した塩*1を古出来(集荷場があった)まで運び、ここで積み替え、さらに長野などの奥地へ運んだといいます。
その距離約10kmほど。昔の人の「中馬」のペースが分かりませんが、3時間位で行ったのかな?細い道のウネウネとした旧道らしい所も残っています。
【魅力 ①】「高低差」
毎回、北から南へ向かって歩くのですが、これは海へ歩いて行く感じが分かり、楽しいからです。
どんどん地面が下がっていく=海へいくを体感することができ、この高低差が塩付街道ならではの魅力となっています。
今回は、スマホアプリ「正確な高度計」で測りながら歩いてみました。
【上段】「GPS高度計」(数字が得られないことも多い。)
【中段】「場所ベースの高度計」(スマホから現在位置を測定しているらしい。正確と説明される。)
【下段】「気圧高度計」(圧力センサーを使用。こちらも正確と説明される。)
しかし、3者3様の数字を出してくるのでとまどいます(「場所ベース」の数字が一番近いのか?)。
途中、台地の真ん中を感じるところもあり(左右の両端が下がっている)、高台を通る昔の道を想像しながら歩きます。最終的に、だいぶ下がりました。
3mは妥当な感じもしますが、どうでしょ。
【魅力 ②】「お馬さんの行く道」
ちょこちょこと出くわすのが、馬頭ばとう観音やお地蔵さん。
馬頭観音は「中馬ちゅうばの道」ということで、道中安全であったり、牛馬守護の為であったかと思いますが、昔の人はいったいどういう気持ちでお参りしていたのか?
正直、想像するにはもはや隔世の感がありますが、点々とある痕跡を拾っていきます。
馬頭観音は、観音様の化身の姿とされ、馬の頭をのっけた怒った顔で表現されます。馬つながりから、馬(動物)を守護をする仏さまとして厚い信仰があったようです。
ということで、高低差を感じながら、あっというまに、かって製塩をしていた星崎までやってきましたが、現在ではここから海ははるかに遠くです。
かっては、下の星宮社の前でも製塩が行われていたというが。
下記ブログでは、星崎におちた隕石の伝説と星宮社(ほしみや)、呼続神社(よびつぎじんじゃ)について載せています。
ということで、塩付街道は高低差と点々とある祠などをたどり、(昔の)海へいきつく街道となっています。
また、以下は少し寄り道をしています。興味のある方はみてみて下さい!
(道中寄り道①)「あゆち水」
昔あった名水の跡地(伝承地)です(今湧水はない)。
愛知の名前の由来という「あゆち(年魚市)潟」は、この辺り一帯の遠浅の海を指しましたが、風景激変で、海なんて見えたの?という感じ。
また、「あゆち」の名の名残りは、阿由知あゆち通り(昭和区)などにも見ることができます。
【道中寄り道②】「冨部神社」と蛙(南区呼続)
この冨部とべ神社のあるところは、東海道沿いではないのか?と思いきや、この付近を塩付街道の起点とする説明もあります。
塩付街道は単純に1本の道では無く、複数の地点から塩が運ばれたと考えられている。
さて、東海道に賑わいがあった時代、冨部神社で蛙の郷土玩具のお土産を売っていたと聞いたことがありますが、今でもあるのか?ちょっと寄り道します。
見たところ、蛙細工は発見できませんでした(聞けばよかったかな?)。
瓦職人が余暇に作って売っていたということですが、昭和50年代には消えてしまったのだとか。
近年、復刻したものが授与されているという記事を見ていたので少し残念でした。
さて、なぜ蛙か?ですが、戦国時代ここにあった戸部城の城主のエピソードによるもので、城主・戸部新左エ門は、今川義元方の勇猛な武将で自分の前を横切る者を「無礼者!」と切り捨てることもあったのだとか。
ただ前を横切る蛙はさすがに切り捨てることができなかったという話があり、そこから「無事かえる」につながる玩具が作られ始めたといいます。
【道中寄り道③】「笠寺観音(笠覆寺)」(南区)
【所在】名古屋市南区笠寺町上新町83
ちょうど今、お寺は工事の真っ最中でした(令和4年まで)。また、本尊の11面観音は秘仏で、8年ごとの開帳(次回は2023年)があり、次回が期待されます。
雨の降る日、野ざらしの観音様に笠をかけてあげたというお姫様の伝説(平安時代)があり、そうしたお話から笠がこのお寺のシンボルとなっています。
最後に
ということで、少し地味な印象の旧道「塩付街道」を歩きましたが、今は名古屋の人も通しでは歩かない、知る人ぞ知る道となっています。
しかし、塩付街道の目的地・笠寺かさでら台地や、名古屋のある熱田あつた台地は、台地の起伏で昔の尾張の国をおぼろげに示してくれています。
空襲で焼け跡となり、埋め立てで海岸線は遠くなり、かってとは激変してるのはありますが。
というわけで、『名古屋のマイナースポット 塩付街道を歩く』でした!以上です、ではまた!