今回は浮かんだ2つの疑問を考えます。①つめは「人口減などで、市としての体裁がとれなくなってきた市ってあるのだろうか?」
②つめは以前、TVで取り上げられていた「消滅可能性都市ってどういう都市か?」という疑問について書いていきます。
「夜明けと田舎町の画像 」(撮影:あめまんさん)
まず、市としての体裁がとれなくなってきた「市」についてです。都市部への人口流失がある地方都市にありそうな話ですが、実際のところ、どうなのでしょうか?
また「消滅可能性都市」の方は、以前「月曜から夜ふかし」で取り上げられていて、初めてその言葉を知りました。
その「消滅可能性都市」の定義をもう1度詳しく知りたいと考えました。
①日本の「市」の数(2018年時)
まず日本に市はいくつあるのかを調べます。
これは簡単に分かり、2018年(平成30年)10月1日時点で、792市でした。
②「市制要件」とは?
さて、市になる条件ですが、これは「市制要件」と呼ばれ、『地方自治法第8条』(1947公布)に示されていました。
◯ 原則として人口5万人以上
◯ 中心市街地の戸数が、全戸数の6割以上
◯ 商工業等の都市的業態に従事する世帯人口が全人口の6割以上
‥などの要件を備えていなければならない。
人口5万以上!この条件をクリアーできない市もきっとあることでしょう。
wikiの記述をみると、
◯(人口減などで)市制要件が満たせなくなっても、市のまま存続する事は可能
◯(特殊な例をのぞき)市になった市がまた町村にもどったことはない
とあり、市制要件から外れても、市から降格という話ではないことも分かりました。
③『日本の市の人口順位』のランキング
この市制要件の人口5万に着目し、wikiにある「日本の市の人口順位」のランキングをみてみます。
ここには792の市が人口でランキングをされているのですが、ここから、人口5万以下の市を探します。*1
すると、すでに521位から5万をきりはじめたではないですか!
それならば、792ー520=272で、272の市は人口5万いないという話になります。ざっくりと800くらいの市がある中で、市制要件を満たす人口5万以上の市は約500。市制要件を満たせない人口5万人以下の市が約300という状況です。
満たせてるのは約6.5割で、思った以上に満たせていないことが分かりました。
‥しかし、そもそも人口5万がハードルが高い話なのかもしれません。
そして、『市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)』(1995(H7)改正)で、市町村合併の際の市制要件は、「人口3万以上に緩和され、その他要件は満たす必要はないとされた」とあるのを見つけました。
この条件の緩和から、人口3万でも市の体裁があると考えて、さらにランキング下位をみてみると、3万を切り始めるのは702位からでした。
ランキング最下位の5市
789位・赤平市(北海道) 11,105人(同)
790位・三笠市(北海道) 9,076人 (同)
791位・夕張市(北海道) 8,843人 (同)
792位・歌志内市(北海道) 3,583人 (同)
おそらく夕張市は入ってるだろう、と想像していたのですが791位でした。その夕張市の下には歌志内市が入り、3500人という人口には少し驚いてしまいました。*2
以前、ニュースで話題になった「平成の大合併」(1999-2010)では、自治体の広域化が行われました。しばらくは今の自治体が継続されるのでしょうが、人口の回復が望めないことを考えると将来また自治体の統廃合が起こる気がします。
③『消滅可能性都市』とは
この言葉は、「人口流出・少子化が進み、存続できなくなるおそれがある自治体」を指すのだそうです。
これは「日本創成会議」が2014年に発表したもので、『地域消滅時代を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について』にその内容がまとめられていました。
この中で「消滅可能性都市」の定義は、「2010年から2040年にかけて、20 ~39歳の若年女性人口が 5 割以下に減少する市区町村」としています。
子供を産める女性の人口が減れば、次世代の人口も減少し、どんどんと先細りになります。そして、大都市圏への人口流出問題。この2点を人口減の2大要因とするレポートでした。
推計によると、2040年には全国896の市区町村が「消滅可能性都市」に該当。うち、523市区町村は人口が1万人未満となり、消滅の可能性がさらに高い。
引用:『地域消滅時代を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について』
みんなで認識を共有し、少子化対策・大都市圏集中への対策をしていこう、というのがこのレポートの内容でもありました。
最後に
‥ということで市の体裁を整えてない市は現状たくさんある、ということが分かり、「消滅可能性都市」は、将来存続が危ぶまれる市町村という意味であることが分かりました。
参考にした資料からは、将来的には地方自治体の統廃合が進み、〇〇市と〇〇市が合併、市が消滅ということが実際に起こりうるのではないか、今はその過渡期ではないか?という感触を持ちました。
少子化対策・大都市圏集中への施策ももちろん大切ですが、もし、消えていく市町村があるのならば、今のうちから記録をしっかり残し、そこがどんな町で何が行われていたのか、そこで生きていた人々の歴史が後世の人たちによく分るようにしておけるといいな、と個人的には感じました。
今回、市を調べる中で発見もありました。地元近くの名古屋市守山区が「守山市」だった時代があったという事実です。
(名古屋市民であった自分も知らない事実でした)。
存在した期間は9年間(昭和38年に名古屋市に合併)。今ではまぼろしの「守山市」でどんな市政が行われていたのか、現在の「守山区」ではそうした経緯を教えているのか、想像するだけでもワクワクします。
ネット上で情報があまり得られなかったため、一度「守山区」に行って情報を探してみようと思っていますが、その時、昔の「守山市」の姿を彷彿とさせる資料に出会えたら、とても感動するかもしれません!
…ということで、『人口減などで市から陥落しそうな市はあるのか?また「消滅可能性都市」とはどういう都市か?』でした!以上です、ではまた!
下記のブログでは、その「守山市」を探しに行ってきました。