『猿喰さるばみ城跡』という山城の跡へでかけてきました(岐阜県坂祝町さかほぎちょうにある)。小高い山の上(265m)に建てられた「猿喰さるばみ」という珍しい名前をもつ山城です。この「猿喰」の名前の由来や歴史、山頂の展望などを見ていきたいと思います。
「地名」の由来と城の「名前」の由来
岐阜県坂祝町の「猿喰城」ですが、町名も城の名前も読み方が難しいです。
「坂祝町さかほぎちょう」の「猿喰城さるばみじょう」と読みます。
(「猿喰城」を調べるうち、面白いことに広島や北九州市にも同じ「猿喰さるはみ城」があることがわかりました。同じ名前のついた複数の城。偶然ではなく、調べたら、もっと発見がありそうです。)
さて、「猿」は当て字で、(狭い・崩れさる・すべりやすい)といった地形からきているのだそうです。「ばみ」には、(浸食されやすい・のみこむ)といった意味があります。
どうも、足場の悪い、すべりやすい場所につけられた地名のようです。*1
そして、町名の「坂祝さかほぎ」の方ですが、
個人的には、(言祝・寿ことほぐ)(祝・寿ほぐ)のほぐが入った「美しい地名だなぁ」とずっと思っていました。
が、今回調べてみると「坂祝」は当て字で、以前は「坂歩危」。険しい山坂でくずれやすい場所が多い、歩くに危ない場所だったことからついた地名ということでした。
字の美しいイメージからは、真逆の地形ということが分かりました。
さて、駅前の看板を見ると、「クルマの町 さかほぎ」と書かれています。
(こうした自動車工場があるため、美濃加茂市、可児市、坂祝町は外国の方が多かったりします。)
めざす「猿喰城跡」は、この坂祝駅前からも見えました。
結構山の上にみえますが、標高は265mとそう高くはないはずです。
登山口近くには、猿喰城展望台駐車場が2ケ所あり、どちらもほぼ満車?という状態でした。(まさかの大人気の山?)とドキドキしながら、とりあえず登っていきます。
山道を登ること30分ほど。特に難所もなく、頂上が近づいてきたのか明るくなってきました。上の方はツツジが群生し、いい香りがただよいます。
頂上は狭い平たんな土地で、2階建の展望台が建ち、そこからの眺めは絶景でした。(展望台自体の写真を撮るのを忘れてしまいましたが)。
いい眺めだったので、5分くらいぼんやりしていました。
眼下の木曽川きそがわが、山の間を流れていきます。
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眺望からも分かるように、木曽川と中山道が通るこの狭い場所を抑えて砦を建てることは、軍事的に重要だったはずです。
猿喰城のある勝山へは、今は登山道が整備されていてあっさり登れますが、もともと急峻な天然の要害であったといいます(山をもっと歩き回ったら、そうした険しさも体感できるのかもしれません)。
「美濃」と「尾張」の国境にあり、織田方の「犬山城」と対峙する最前線の城として、この場所はたいへん重要だったということが想像できました。
『猿喰城』について
1400年頃に建てられ、後年、多治見修理たじみしゅりが城を奪取したといいます。
1565年、「東美濃攻略」を開始した織田信長によって、美濃の斎藤方の猿喰城は攻撃を受けます。
「猿喰城の攻防」で、織田軍の丹羽長秀・河尻秀隆らによって城は落城します。多治見修理は逃げおち、猿喰城には河尻が城主として入ります。
(1575年にはその河尻も「岩村城」(岐阜県恵那市岩村町)へと移り、「猿喰城」は廃城となります。)
「猿喰城」にもっとも歴史のハイライトがあたったのは、戦国時代、尾張と美濃が(織田氏と斎藤氏が)競りあっていた時代でした。
看板をみると、さらに「登山道」が奥に続くようです。
この日、登山客数十人とすれ違いましたが、中にはいかにもトレッキングな人や外人さん一行もいて少し驚きました(険しいところもあるのでしょう)。
結局この日、「城跡の碑」などは見つけることはできませんでした(そもそも設置されていない?)。「1816年頃には天守台・櫓台・石垣の遺構が残っていた」と『美濃雑事記』という資料には記されているのだそうですが。
寄り道『美濃太田宿』
坂祝駅の隣の駅が、美濃太田みのおおた駅になります。かってここは、中山道51番目の宿場「美濃太田宿」があった場所で、ちょっと下車して散策してみました。誰1人歩いていなくて、山の上よりよっぽどすいていました(笑)
立派な「脇本陣」がかっこいいのですがまだ休館中でした(新型コロナのため)。
脇本陣の裏手(南側)には木曽川が流れ、いい天気だったので、散歩する人、サイクリングする人とほどよい人出でした。
‥というわけで、「猿喰城跡」に登ってみて、現在は手頃な登山が楽しめる山として地元の人にたいへん愛されているということが分かりました。
その爽快な眺望の良さが、昔も今も人気なのは間違いないでしょう。
‥ということで、 以上、『猿喰城跡へ登ってきました』でした。ではまた!