物欲子(ぶつよくこ)のブログ

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『砥鹿とが神社』(豊川市) 【古代日本の『占い(亀卜)』の神紋を持つ神社】【太占と亀卜の違いとやり方】

前回ブログで『菟足神社』に行った際、近くの三河国一宮『砥鹿とが神社』にもお参りしてきました。この『砥鹿神社』で気になったのは、珍しいご神紋(『亀甲に卜象』ぼくしょう)のことでした。今回は『亀卜きぼく』(亀の甲らを焼いて「ひび割れ」で吉凶を判断した古代の占いを彷彿させるこの素敵な『紋』について調べました。

butuyokuko.hatenablog.com

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「本殿」

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緑の多い社叢

『砥鹿神社』の情報

『砥鹿神社』(里宮):豊川市一宮町西垣内2

      (奥宮):本宮山ほんぐうさん(789m)

ご祭神:「大己貴命おおなむちのみこと

創始:(伝)大宝年間(701-704)

『砥鹿神社』のここがおもしろい!ポイント

 

神体山の「本宮山」と、山頂にある「荒羽々気あらはばき神社」

 (「アラハバキ」って東北の神様のイメージですが‥、ここに?)

②創祀以来、「草鹿くさかど家」が代々の神主を務めている。

③立地 神社が豊川の河岸段丘の縁へりにあり、高低差を感じる場所。

神紋の『亀甲に卜象ぼくしょう

 

‥と、面白いポイントがあるのですが、今回は以前から気になっていた④についてみていこうと思います。

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『砥鹿神社』のご神紋

『亀の甲羅にひび割れ』いかにも『亀の占い』のデザインにドキドキしてしまうのですが‥。私が「ひび割れだ」と思っていたのは、実は「町型まちかたというものでした。

これに沿って火をあてていく「焼き入れの目印になるもの」で、『甲ら』に彫ったり、

墨で書き入れたりしました。

①下から上 ②中央から左 ③中央から右をくり返すなど、焼いていく順番にも各地で違いがあったようです。

(最初、「町型」はどうも「十字」だったようなのですが、陰陽五行思想の影響今の形になったのではないか?といわれています)

 

『太占ふとまに』と『亀卜きぼく』の違い。やり方

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三浦周行 - 『即位礼と大嘗祭京都府教育会より。Link

 歴史の授業の最初の方で習ったあの『太占』や『盟神探湯くかたち

(実際に見ることはないので、こうした痕跡をみると少し興奮しますね)

両方とも神意を問う「古代日本の占い」ですが、実際にどのようなものであったのか、よく知りませんでした。『砥鹿神社』にお参りしたのを機に、『太占と『亀卜』の違い、やり方などについて調べてみました。

 

①『太占

 

「太ふと」は美称(ご祭神「おおなむち」の「おお」なども美称です)

【材料】 シカの肩甲骨 

【加工】 現在の神事ではほぼ加工せずだそうですが、昔は「たんざく形」(12-15cm×1cm程度)に成型することもあったそうです。

【火をつけるもの】 焼いた『錐きり』で刺したり(通り具合で占う)、直火にそのままくべたり、「指火木」というもので焼いたりする。

【時代】 弥生時代に伝来

 

②『亀卜』

 

【材料】 ウミガメの腹甲、背甲を数か月~数年乾燥させたものアカウミガメが多い)

【加工】 『甲ら』両面を削り、なめらかにする(厚さは数㎜程度)

大きさは、24cm×10cmの形に成型や「将棋の駒の形」に成型など色々。

【火をつけるもの】 「ははかの木」(桜の木の一種)

【時代】 中国の殷の時代に盛んで、日本には古墳時代後期に伝来。

 

そうか‥、伝来した時期が違うのですね(『太占』のほうが古い)。

また、成型するのは火の通りをよくするためもあり、「占い」数が多い場合はその方が効率的だったのでしょう。

 

『亀卜』のやりかた

 

神社や宮中で今も神事として行われる『太占』と『亀卜』。

東日本の数社で『太占』が。宮中の神事などで『亀卜』が行われています

そうした神事や文献、出土品を見ていくと、そのやり方には違いがあるようです。

  

やり方の例

 

① カットして磨いた『甲ら』に方形に穴を掘る。

② 方形の内側に「┾の町方」を刻む(または墨で描く)

③ 「ははかの木」に点火し、押しつけて焼く。

④ 「順番通り」に焼く(くり返す)

⑤ 「ひび」が入ったら、水をかけて消火。

⑥ 焼いた側と反対側の「甲ら」をみて判断する。

(※焼く時に『呪文』を唱える場合もある。「ト(下)ホ(上)エミ(右)カミ(左)タメ(中央)」など)

 

実際の「占いの判断」

 

「ひび」の読み方は、時代や場所でそれぞれだったようです(もう失われたものも)

(例 「ひびが多いと〇〇」とか、「ひびが左に曲がると〇〇」とか)

 

まとめ

 

やはり最初は、動物を焼いて食べてたところから始まったと思われます。モンゴルには、今でも「動物の骨占い」があるそうです。

『太占』と同じ「肩甲骨」を使うということで驚きですが、モンゴルでは肩甲骨は『力』の象徴とされる大切な部位なのだそうです。

(世界の『骨占い』などを1度調べてみると、共通項が分かって面白いかもしれません)

 また今回調べる中で、『占部さん』と『卜部さん』の名字の違いについても面白いことがわかりました。

『卜部さん』はご先祖が『亀卜』に従事

『占部さん』は「獣骨占い」に従事、という違いから用いる字が異なるようです。

(知り合いの『卜部さん』は、「亀占いの方かぁ」と思ったり‥)

 長年の疑問が一部解決してよかったのですが、まだ分からないこともたくさんあります。

例えば、『砥鹿神社』の神紋はいつから使われているのか?など。

室町時代位なのかな?とも思うのですが、これももう少し資料を探さないとはっきりしません)

同じ神紋の『事任ことのまま八幡宮』(静岡県掛川市も気になりますが、また時間を見つけて調べてみようと思っています。‥ということで、『砥鹿神社 【古代日本の『占い』の神紋を持つ神社』でした!以上です、ではまた!

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【左】奥宮『本宮山』の御朱印。【右】パンフの写真の山が『本宮山ほんぐうさん

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授与品『本宮鈴ほんぐうすず』(800円) 素ぼくでかわいい土鈴

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神紋の入った「お守り」

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逆光で「ゴースト」(緑の輪)が出た写真

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続けて撮った②枚目が「茅のわくぐり」なのは面白い偶然

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『砥鹿神社』前ののどかな景色(手前の高い土地が河岸段丘側)